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歌とわたくし。「さようなら世界夫人よ」   

 先日の「大塚うたごえ酒場」の2次会でアカペラで歌ったのが、「さようなら世界夫人よ」である。

 作詞/へルマン・ヘッセ/1944
 作曲/中村治雄(頭脳警察)/1972



 はじめて聴いたのは、1974年くらいではないかな。田舎にいたので、音楽ソースは、もっぱらNHKFMの音楽番組だったのさ。
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 中学生の頃、その当時はありがたいことに、そのNHKFMの日曜日の夜6時から、新しいアルバムをほぼフルでかける番組があって、わが家のようにオーディオ装置 (その頃はステレオっていったんだぜ) がなかった家の子女にとっては、たすらラジカセでのエアチェックでその恩恵を受けていたものなのさ。
 記憶にあるアルバムのひとつは、イエスの「CLOSE TO THE EDGE(危機)」だな。

 一方、高校生になると、そのNHKFMには、渋谷陽一がDJを務める「若いこだま」という音楽番組があって、この番組は、アーチストをスタジオに呼んで、生演奏も交えてインタビューというか対談を行うという内容ではなかったかちらね。
 「さようなら世界夫人よ」は、この番組で聴いたような気がする。
 あ、そうだ、この曲を聴いたのは、その番組のもうひとりのパーソナリティーでもあったサンディー・アイ(現サンディー/いまも久保田真琴夫人なのかな?)の番組にゲスト出演した時だわ。
 そのサンディー・アイが、あの澄んだ高い声で、「きょうのゲストは、頭脳警察の皆さんですよ~♪」っていってた声が、30数年経った今でも、きのうのことのようにこの耳の奥でいまでも鳴り響いている鮮明な記憶があるもの。

 さて、先日、この訳詞について前からずっと気になっていたので、地元の古本屋「アニマル洋子」の店頭100円ワゴンで売られていた高橋健二訳のヘルマン・ヘッセ詩集がどうなっているのか比べてみたところ、こうなっていたのだった。
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 ごきげんよう、浮世夫人よ。 高橋健二訳
    072.gif クリックしておくんなまし。大きくなりますさかいに。
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 そして、この30年来、ボクの中で〝珠玉の名曲〟として位置付けられている頭脳警察版の歌詞はこうなっているんよ。
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 さようなら世界夫人よ 頭脳警察

 世界はガラクタの中に横たわり
 かつてはとても愛してたのに
 今 僕らにとって死神はもはや
 それほど怖くはないさ

 さようなら世界夫人よ さぁ!!また
 若くつやつやと身を飾れ
 僕らは君の泣き声と君の笑い声には
 もう飽きた

 世界は僕らに愛と涙を
 絶え間なく与え続けてくれた
 でも僕らは君の魔法には
 もう夢など持っちゃいない

 さようなら世界夫人よ さぁ!!また
 若くつやつやと身を飾れ
 僕らは君の泣き声と君の笑い声には
 もう飽きた


 う~ん、唸ってしまうではあ~りませんか。っていうか、むしろ、一体ど~なってんのよ、高橋さんって感じなのだ。
 訳詞の優劣をいうわけではないが、メロディーに乗って歌としてハートに届く詞がどちらであるかは歴然だろう。

 約30年にわたって頭脳警察版の歌詞に親しんで来た経験は、ボク自身にとってはつくづく幸せなことであったと思うのであります。
 いろんな意味で、訳詞の違いって深いですね。
 ちなみに、この2つの訳詞についての関連ログも味わい深いので、併せてアーカイヴしておくことにしようっと。→こちらだよん♪
 翻訳もまた、独立した創作活動であるのだな。
 合掌。

by misaochan3x5 | 2009-10-02 07:44 | 音楽とわたくし

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